【ネタバレあり】『女王陛下のお気に入り』のラストは、精神を病むレベルの画力
アカデミー賞最多ノミネートで話題となった『女王陛下のお気に入り』
正直、自分の息子にムスコの精通体験を詳細に語る間抜けな父親など、きわどいギャグをかましまくるヨルゴス・ランティモスの作品がノミネートと聞いた時は、「気でも狂ったのか?」と思いましたが、内容を見ればなるほど!納得できました。
史実は知らないけど、作品は全然面白いです。
以下、ネタバレを含みます!
①これまでのヨルゴス・ランティモス作の中では割とわかりやすい内容
今までのヨルゴス作といえば、「難解」「不条理」といったイメージが強いですが、『女王陛下のお気に入り』に関しては、非常にわかりやすい3人のパワーゲームと、欲望や愛のままに振舞っていたら最終的に何も残らなかったよー;;みたいな話です。
ゲームと言っておきながら、勝者は唯一あの3人と関わっておきながら、無傷でホクホクになったニコラス・ホルトってのがまた最高にシュールです。(史実かどうかはわかりませんが…)
こんな感じで過去作のような、変な設定や世界観はないので、割と「何が伝えたいのか?」という点では分かりやすく、『女王陛下のお気に入り』をみた後に『聖なる鹿殺し』なんて見たら「暗号かよっ!」ってツッコミを入れたくなること必須です。暗号だよっ!
②また秀逸な手コ○シーンが誕生してしまった。
女性が男性を服従させることを暗示するシーンで、謎に手コ○されることが多い映画界。
有名どころ?だと、『ザ・マスター』という作品があります。
今は亡きフィリップ・シーモア・ホフマンが、エイミー・アダムスに手コ○されるシーンは今なお語り草となっているほど。
『女王陛下のお気に入り』でも、策略で結婚したエマ・ストーン(アビゲイル)が、「初夜なのに何もしないの?」と、ピーピー喚く夫に手コキしてやるシーンがあります。
しかし、そこには愛情のかけらもない、完全なる業務感しかありませんでした。
デスノートばりの思考を張り巡らせるエマ・ストーンをよそに、画面奥ではあんあん情け無い声を出す夫…
本当によるゴス・ランティモスは性を作業として描くのが好きだなあ…と、痛感したシーンです。
それにしても、いくらエマ・ストーンとは言え、あんな業務感丸出しで手コキしてもらっても、賢者タイムでたくさん死にたくなりそう。
③もう1分でも見せられたら、間違いなく気が狂うラストシーン。
最近はいろんな映画で「衝撃のラスト!」という、宣伝文句を聞きますが、本当にその通りだなあー、と感動したのはシャーロット・ランプリング主演の『さざなみ』くらい。
ああいう派手な演出や演技をしていないのに、表情だけで「うおーっ!」と見てる側を唸らせてこそ、この飽和状態の「衝撃のラスト」内で真価を持てると思います。
そして、今まで暫定1位の「さざなみ」に並んだ衝撃のラストが『女王陛下のお気に入り』です。(別に配給とかはそういう宣伝の仕方してないけど…)
サラは追放したことに負い目をを感じるアンは、どんどん精神を病んでいき、最初はあんなに可愛がってたアビゲイルを奴隷のようにこき使います。
アビゲイルも散々媚び売って、ウハウハのパリピ生活を手に入れたと思っていたのに、また虐げられる生活を予感させる案のふるまいに愕然…
アンはアビゲイルに足を揉めと命令し、アビゲイルはこれに応じます。
しかし、互いに全く目を合わせないどころか、いったい何を見つめているのかわからないくらい絶望した表情。
「人間ってあんな顔できるんだ…」と見ているこっちが絶望したくなるレベルの顔面が、延々とスクリーンにアップで映し出されます。
しかも、交互に映っていた2人の顔が重なりあっていき、さらにそこへアン王女のうさぎさんも重なってくるという、まるでヤクでもキメたっけ…と思うようなカオスな画面がまた延々と流れて終わります。
こんなの、あと1分でも流されたら、間違いなく精神崩壊します…
ただ、ひたすら死んだような顔したオスカー女優を垂れ流すことで観客を破たんに追い込むランティモスめっちゃ怖いです…
【おまけ】相変わらず笑っていいのか迷う、ランティモス節ブラックジョーク一覧
①自身の過去作のオマージュが雑
本作では、貴族たちがカモでレースをするシーンがあるのですが、アン王女はなぜかロブスターで競争しようと、提案してきます。
どうしても、数ある動物の中で過去作のロブスターを持ってくるあたり、「オマージュなのかな…?」と思ってしまうのですが、どうなんでしょう…?
②エマ・ストーンのツッコミを入れたくなるヌードシーン
作中にちょいちょい見えそうで見えないエマ・ストーンのヌードシーンがあるのですが、基本AV脳(職業病)な私は、ずっと「やっぱオスカー女優となると、ヌードシーンとかも見えないように徹底しろって事務所がうるさいのかなぁ…というかハリウッドって事務所あんの?」
と、しょーもないことを悶々と考えていたのですが、次の瞬間、アン王女を寝取ったエマ・ストーンのおっぱ○丸見えじゃないですかー!えっー!事務所関係なかったの?てか事務所あんの?
そんな私の動揺など関係なく、アン王女を寝取ったエマ・ストーンは、この上ないドヤ顔を見せつけられるのでした。これも焦らしプレイなのかなあ…
③レディー・ガガ全身痛風説
痛風って本当に大変らしく、さまぁ〜ずの三村さんも「膝がぐにゃぐにゃなの」と言っているのをよく聞きます。
アン王女も痛風持ちで(三村さんと比較させるのもなんかアレですけど…)、当時の治療法として、患部に牛肉をあてがうシーンがあります。
ん、じゃあの時のレディー・ガガさんって…(ファンの人読んでたらごめんなさい)
…こちらからは以上です。
まとめ
最多ノミネートと散々よいしょされながら、フタを開けると10分の1の受賞のみというちょっぴり悲しいアカデミー賞の結果になってしまいました。
ですが、ヨルゴス・ランティモス作の中ではダントツ万人受けだと思うので(多分…)少しでも気になったら見てみるのをお勧めします!
何ならラストだけでもいいんで…あんなエマ・ストーンの死人みたいなツラ拝めるのは、『女王陛下のお気に入り』だけですよ!
映画のコラボTがもっと普及してほしいとお願いするブログ
バンドTシャツなんかは、有名なアパレルとコラボしているのをよく目にする中で、映画でも最近はちょこちょこと、こうしたコラボTとかグッズとか出ていて嬉しい限りです。
もっといろいろなコラボグッズが出てほしい!と思える作品は沢山あるので、今後さらなる普及を願い、コラボTの魅力と、どんなものがあるかを書いてみました。
(ちなみにこちらは、私が持っているコラボT。数は少ないですが…『ハイ・ライズ』『ギミー・デンジャー』『パーティで女の子に話しかけるには』『イット・カムズ・アット・ナイト』『サスペリア』があります。
『ハイ・ライズ』は着回ししやすくてお気に入り。なお、『ギミー・デンジャー』『イット・カムズ・アット・ナイト』は未見というクソにわかっぷり。)
①サイズ感が一般的な映画Tよりナウい
有名アパレルとコラボしているTシャツは、サイズ感が今風なものもあるので、好きな映画をアピールしつつ、着こなしもそれなりな感じにはなるという、まさに一石二鳥なグッズ。
特に『サスペリア』のロンTは、あのジャーナルスタンダードとのコラボだけあって、結構ゆったりめなサイズ感です。
今はロンTでもサイズ感大きめかつ、1枚で切るのがおしゃだって、美容師の弟もそうやって着ています(さらっと責任を擦り付けた)
②映画のビジュアルがいい感じにアレンジされている
「好きな映画のTシャツを着たいけど「いかにも!」なデザインはちょい恥ず…」なんて人でも、コラボTだと、いい感じにデザインをアレンジしていることがあるので、所見では良くも悪くもバレにくい(気づかれにくい)というものがあります。
でも、これは裏を返せば、そんなに映画自体に興味がなくても、気軽に手に入れやすことでもあります。
実際、映画好きの人なんて(私を含め)皆人見知りだから、「あ、それ○○って映画のTシャツですよね?」と絡まれることはないです。たぶん。
③「ハードコアチョコレート」は、おしゃれというより、ガチ映画好きの戦闘服
そんなコラボTとは、ある意味真逆の露疎遠をひた走る、知る人ぞ知るブランドに「ハードコアチョコレート」というブランドがあります。
「私、この映画好きなんですよね~」と言えば、そのあとの人間関係に多大な影響を及ぼしかねないような作品(『ムカデ人間』とか…)とコラボしまくることで有名です。コラボなのかな?そもそも。
そして、そのデザインはまさしく、他の追随を許さないような前衛的というか、映画のやばさをそのままデザインに落とし込んじゃいました。みたいなものが多数。
例えば、最近公開された『暁に祈れ』のコラボT。
一見すると、なかなかよさげなデザイン(でもやっぱ日本語タイトルはいらんな…邦画じゃないし…)ですが、裏面を見ると、
作中でも登場した、リアルガチ囚人の皆様が、満面の笑みでプリントされちゃってるじゃありませんか。ヤバい、ぞくぞくする(リアルガチな意味で)私が警察官だったら職質したくてウズウズしちゃうデザインです。
そんな裏面のプリントを一切廃し、日本語ロゴも抹消したら間違いなく買っていた、個人的には惜しい作品。
しかし、「ハードコアチョコレート」が目指す映画Tシャツとは、私みたいにぬるま湯に浸かったような映画ファン向けのものではないのです。
彼ら、そして彼らのTシャツをお召しになる方は、映画に人生を捧げているような猛者たち。
たとえ、周囲から「えっ、そんな映画が好きなんだ…」と引かれようとも、職質されようが、構わず映画愛をアピールするのです。
まさに、彼らにとっては戦闘服なのかもしれません。
こんな感じで、「ハードコアチョコレート」とまでは言いません。
むしろ、もっとライトな映画好きが興味を持ってもらえるように、こうしたコラボグッズはもっとあってほしいと思います。
最近だと、『サスペリア』とジャーナルスタンダードのコラボグッズがあるのですが、発売日が1/25で、数日後には殆どが在庫薄でした…
イメージカラーの赤パーカーは在庫切れと、反響が大きいと感じました。(元々在庫数が少ない可能性もありますが…)
というわけで、アパレルさんぜひに!
TVシリーズも劇場版もリアタイで見た人の『PSYCHO-PASS Case2.First Guardian』感想、ネタバレ
第1期を見ていたのが、大学生くらいの時だったので、時が経つのは恐ろしいと『PSYCHO-PASS サイコパス Case.2 First Guardian』を見ようと思ったときにしみじみと感じた27歳です…
そんなリアルタイムで本編と劇場版も見てきた私が『First Guardian』を見て思ったことを正直にまとめました。(ネタバレもあるよ!)
結論から言うと、「2時間尺で見たかった…」と言う気持ちが強かったです。
①やっぱりドミネーターが活躍しないほうが面白い
『Case.1』は未見なので、どれくらいドミネーターが活躍したのかは分かりませんが、『Case.2』に関しては、とにかくとってつけたようなドミネーターの演出がありました。
でも、これに関しては劇場版から既にそんな感じでしたし、「シビュラシステムという統制下の中で、いかにシステムの目を欺けるか」という点に重きを置けば、自ずとそうなる気がします。
これは逆に面白いことなんだなあ、と感じるようになりました。
何というか、主要武器というより、黄門様の印籠みたいなポジション…
『Case.2』でも、国防省というお偉いさんをいかにシビュラのもとで捜査するか、というテーマがあったので、当然国防省の人にドミネーターを向けることなんてままならないという…
それゆえ、本筋では見ることのできなかった公安vs国防省(軍人)という構図が楽しめました。
②なぜ大友燐は須郷徹平にビンタしたの?(ネタバレあり)
これは本編を見ながらずっと考えていました。
いわば須郷もフットスタンプ作戦の指示なので、大友を見捨てたのは本意ではありません。
にもかかわらず、おもっくそ燐にビンタをされる須郷…
「えっ、かわいそう…」と素で思ってしまいました。
だって、軍人の妻であると同時に、燐も以前は軍人だったのに作戦に従うしかなかった須郷を責めるのかあ…と。
そのあたり、須郷とは同期なんだし、理解してあげても良くない?楽観的過ぎ?
でもよく考えると、須郷が「作戦後、意図的な移動により詳しい話を知ることができなかった」と言っているので、あのビンタのシーンに至るまでに、そこそこの時間が経過しているようです。
この時点で、燐はフットスタンプ作戦の真相=須郷が投下した殺戮ガスのことも知っていたのでしょう。
だとしても、実質被害者同然の須郷に強烈なビンタをお見舞いするどころか、国防省に復讐するために、須郷のデバイスを使ってハッキングし、須郷が拷問されるという、まるで捨て駒のごとく扱うところは、やはり腑に落ちません。
「大友はそんなこと復讐望んでいない」という須郷の訴えにも「それはどうかな?」みたいなこと言ってましたが、その内容もいまいちピンとこず…(そもそも動機が何なのか、もはやあまり覚えていない…)
燐が須郷をデコイではなく、復讐するために仲間にさせようとする方が、まだ自然なような…
最初は天真爛漫なキャラかと思ったら、気づいた時にはミステリアスな女性になっていました。
それくらい、夫の死は妻を変えるのでしょうか…それとも、このストーリー以前に須郷と燐の間で何かあったのか…?
③サイドストーリーとは思えないほど、不幸な目に合う須郷さん
(ネタバレあり)
それにしても、普通に考えたら「フットスタンプ作戦」でいいように利用されて色相が濁り、同胞を殺してしまったと知って色相が濁り、国防省にたてついたと誤解されて色相が濁り、公安と国防省の板挟みになって色相ry
たった60分の尺とは思えないレベルで不幸な目にあう須郷さん…
あげくセラピーしたけどもれなく選在犯認定されるというトドメの一撃は、一周回って悪い冗談ではないかと思うほど。
そりゃ、あのボインのお姉さんからのドローンパイロットのスカウトも断ります。
しかし、「いずれ戻らざるを得ない状況が来る」と脅される須郷さんでした。彼の不幸には底がない…もうそっとしてあげて…
④まとめ
なんやかんや言いましたが、全体的には面白かったし、劇場版のような銃火器のドンパチも迫力満点で最高でした。
尺があれば、新規キャラももっと魅力的に描けたかもしれません。
設定や演出がいいだけに、事件のインパクトや顛末が特に何も余韻を残さなかった点が惜しいです…(例えば、訓練校時代の燐と須郷のくだりとか)
『Case.3』は事実上の劇場版からの続編でもあるので、こちらにも期待したいです!
『ファースト・マン』を見て、チャゼル監督は主人公いじめてなんぼだなぁと感じた話
これまで『フルメタル・ジャケット』から飛び出してきたみたいな鬼教授の話や、圧巻の1発撮りミュージカルなど、分かりやすく注目を集めやすいジャンルを手がけてきたデイミアン・チャゼル監督が、宇宙飛行士の実話を撮ると聞いた時は、正直「?」と思いました。
ですが、見てみたらなんてことはない。ちゃんと、デイミアン・チャゼルしてました。
『セッション』『ラ・ラ・ランド(スマホで入力するの面倒くさいタイトル)』とは違い、ド派手な演出といった小細工(失礼すぎ)が一切効かない中でも、個人的に良かったなあ…と、思えるところをまとめた、好きな寄せ集め記事になります。
①やっぱ、デイミアン・チャゼルは主人公をいじめてなんぼ
『セッション』と『ファースト・マン』の共通点は、やはり主人公がものすごい勢いで特訓させられている点につきます。
特に、ニールの場合は本番での失敗は許されない=死を意味するので(あれ?『セッション』も…?)、特訓も命がけ。
回転するジャングルジムみたいな椅子に座らされてゲロ吐いたり、
ホバリングするジャングルジムみたいな椅子に座らされていたら、椅子が故障してあわや墜落死しそうになったり…etc
「危ねえ!殺す気か!」と、私たちパンピーならそう声を荒げて当然の場面でも、ニールは「本番で失敗しないためにも、今失敗をするべきだ」と、上司に食ってかかるほどヤル気満々です。
上司に食ってかかるというのも、鬼教授に向かって「死ね!フレッチャー!」と絶叫していた『セッション』と共通してますね!
そう考えると、だんだん『ララランド』の方が監督にとって異色作なんじゃないかと錯覚してきました。
とにかく、こういう演出がデイミアン・チャゼル監督の醍醐味になったら面白いなあ〜
②「○○なんて悩み、宇宙から見たらちっぽけ…」を逆説しちゃう演出
「今日、犬のうんこ踏んでめっちゃ落ち込んでいたけど、こんな事宇宙から見たらちっぽけな事だよなあ…」と、よく聞く(?)セリフがありますが、『ファースト・マン』は、このセリフの真逆で宇宙を捉えます。
つまり「俺、宇宙に行くけど、こんなの家族のことを考えたら…」という具合です。
決して「宇宙に行くのだるっ…」とか、そういうわけではなく、あくまで月に行っても家族のことを想っている点がミソなのです。なんか書いてて安っぽいJ-POPの歌詞みたいになったなあ。
というのも、ニールには幼くして亡くなった娘・カレンちゃんがいて、彼女の死がニールをアポロ計画へと突き動かしたことは間違いないです。
別に「有名人になりてー!」とか「歴史に名を残してー!」とかそんな動機ではないのです。
作中でも、月面着陸に成功した国民の盛り上がりより、ニールが月から帰ってきてからの妻との再会シーンに力を入れているように感じます。
デイミアン・チャゼル監督は「アポロ計画成功したね!すごいよね!」という宇宙スケールなことを描きたいのではなく、あくまで偉業を成し遂げたニールの夫・父親としての普遍的な部分を描くことに徹底している点がすごく好感を持てました。
(そういう意味では、ZOZO社長を招いたプロモは、作品を見ていないに等しい行為のような気が…あ、お年玉企画にはがっつり参加しました!)
③主人公がいまいち何を考えているのかわからないのが良い
宇宙飛行士なんだから、そんなに感情をしっちゃかめっちゃか出されちゃあ、同乗者もたまったものではないので、当然と言えばそれまでですが…
とにかくニールの寡黙さは、これまでのチャゼル作はもちろん、伝記映画にもなかなか見られないキャラだと思いました(そもそも『ファースト・マンって伝記映画なのか…?)
なんか、『オンリー・ゴッド』『ドライヴ』のごずりんを足して2で割ったみたいな…これ殆ど喋らないな…
ニールは訓練中も、家族との間でも、(計画が進めば進むほど)あまり感情を出さない上に、「なぜ、そこまでして月に行くのか?」に対する答えが本人の口から語られません。
最後の月面での、ある行動もいろんな解釈ができる演出になっていました。
ニールがどうして月に向かおうとしたのか、明確な理由は原作を読んだら分かるかもしれませんが、それを映画では明らかにしないのは、なかなか面白いなあと思いました。
お陰ですごく余韻を残す作品になってます。
④ニール、実はおしゃれ船長説
(↑画像は憧れパイナポーの方のおしゃれ番長)
これは本当に、個人的に最も史実と照らし合わせたいところなのですが、ニールさんめっちゃおしゃれ船長じゃないですか?
本編を見た人に聞きたいのですが、何ですか、あのビタミンイエローのモックネックTシャツ。
(↑モックネックTシャツ)
他にも良い感じの柄シャツとか…(特に月に行く時の荷造りで入れていた柄シャツが良い)
とにかく、あの黄色のTシャツはインパクトが強すぎて我を忘れてしまいそうでした。
個人的な偏見で申し訳ないのですが、勝手にエンジニアって、チェックシャツを洗いざらしのジーパンにinしている格好が定説だと思っていた私には、量の頬をグーで殴られたような衝撃だったのです。
仮にも1960年代の話だし、本編でごずりんが着ていた服装は、結構流行っていたのかなあ…あの柄シャツ欲しいなあ…
まとめ
そんなこんなで、音楽ものでもミュージカルものでもない『ファースト・マン」』ですが、ちゃんと見応え充分なので、気になっている人は安心して見に行きましょう。
その際には、必ずIMAXとかATMOSで観るのが絶対良いです。
私はフツーのスツリーンで本編を見ながら泣いていました。(違う意味)
個人的2018ベスト映画『ラブレス』の良い点をまとめてみた
世の中にはとても自己中な人が稀にいますが、その中にも様々種類があります。
人の迷惑を顧みない傍若無人な振る舞いをする人から、自分さえ良ければ他人のことは考えないような人も。
『ラブレス』は、ロシアにはそんな人しかいないの?って思わせるくらい後者の人間しか登場しません。
死ぬほど民度が低い連中しか出ないのに、美しさがすごい映画
いはやは清々しいほど、どいつもこいつも自己中心的で笑ってしまいそうになりました。がはは。
それはメインキャラのジェーニャやボリスだけでなく、捜査に対してやる気0の刑事や、もっと細かいことを指摘すれば、レストランにて恋人と来ているのに、平気でナンパしてきた男に、名前と電話番号を伝える女性まで・・・揃いも揃って「自分が一番可愛いんでちゅ🥺」と言わんばかりに、自己愛?が過ぎる連中が揃っています。
そんな映画、普通に撮ったら「スカッとジャパン」みたいなしょうもないモノになってしまいそうですが、流石はロシア政府から助成金が出なかった映画。
途方もない冷たさや美しさが映り、かつ繊細なピアノの旋律が相まって、暗く救いのない話なのに、どこかうっとりしてしまうシーンがたくさんです。
親の都合に小さな子供が巻き込まれる映画は大抵面白い
とにかく今作の主要キャラは、是が非でも自分が幸せにならなきゃ嫌なの!といわんばかりの振る舞い。子供か…
息子の押し付けあいだけでなく、息子がいなくなった事で、彼らが真っ先に心配するのは自分の保身。
普通の親なら仕事なんでほったらかして、泥まみれになりながら子供を捜すのに、ジェーニャは恋人の家で寝坊。
ボリスは捜索に参加するも、息子の名前を一度たりとも呼びかけません。
もう頭の中には幸せいっぱい、お花畑が広がっているのに、「息子の失踪」という事態が、土足でお花畑を踏みにじられているような状態でしょうか。本当にクズですねえ。
そんなクズ&クズの中でも、良識ある人々が出てくるのが救いのひとつ。
実在のボランティア集団を元にした、行方不明者捜索隊の人々や、失踪したアレクセイの友達、自分とは何の関係もないのに、一緒に捜索に協力するジェーニャの恋人。
もっと細かいことを言うと、アレクセイの手がかりを集めるための張り紙に、まじまじと目を留めてくれる男性。
彼らのような人々が多ければ、もっと世の中が良くなるのに・・・と思わずにはいられません・・・
以下ネタバレでございます
ジェーニャのラストの言葉
アレクセイと思われる遺体を確認するシーンで、ジェーニャは泣き叫びながら「あの子は私が引き取るつもりだったのよ!」と激しく叫びます。
一見、感動的なセリフのように見えますが、ここにいたるまでの言動があまりにもひどかったので、私は普通に悲劇のヒロインぶっているだけにしか見えませんでした。
息子さえ戻ってこれば、世間体を気にせずに済むはずが、こうなったらもうめっちゃ被害者面して同情を買うしかねえ!と言わんばかりに迫真の演技!
遺体安置室は瞬く間にプリマドンナの舞台と化しました。
そしてとばっちりを喰らってジェーニャに殴られ、流血沙汰のボリス・・・涙
そういう意味ではボリスは哀しいほどに正直な男です。
結局その場で泣き崩れるボリスですが、新しい生活でも、子供をまるでゴミのごとく邪険に扱う始末。反省の余地なし・・・
一方にジェーニャも恋人の家で暮らしていますが、会話はなくニュースも見ずにスマホをいじいじ。
ランニングマシーンに(なぜか寒いのにバルコニーに設置)乗って、自分磨きに勤しむのですが、その顔はどこか虚しげ。
彼女は自分が自己愛に傾倒しすぎていると気付き始めているのかもしれません・・・
結局アレクセイはどうなったの?
衝撃のラストと謳われた今作ですが、こういうテイストの映画では、めっぽうありがちな結末でした。
アレクセイは姿を消してから、一度も画面上に現れることさえなく、物語は終わります。
これは監督のこだわった演出のひとつで、こうすることで必然的に観客がアレクセイのことを思い出そうとする効果を狙ったそうです。
今作はあくまで自分の幸せだけしか考えない人間が、息子の失踪を気にどう人生が狂っていくのかという、過程を楽しむドラマ映画です。
夫婦の不仲さをめちゃくちゃ端的に表したドライブシーン。
ドライブというと楽しそうですが、離婚申請中の夫婦が乗り合わせてるんだからさあ大変。
息子が行方不明になっているというのに、ラジオでゴリゴリのロックチューンを流すクソ無神経な夫にも問題がありますが、禁煙と言っているのに意地でもタバコを吸おうとする妻。
おまけにラジオがうるさいと文句を言うと、夫はむしろ窓を開けて邪魔をし、音楽のボリュームを上げるという幼稚さよ・・・
ストレスMAXになった妻は「ああああああ!」と叫ぶ、これまた大人とは思えない、幼稚なリアクション。
よくあの密室だけで夫婦の不仲さをあんなふうに描いたなあと、たまげてしまいました。
何気にこの映画の中で好きなシーンのひとつです。
まとめ
結局アレクセイの行方は分からぬまま物語は終わりますが、ラストシーンでは、冒頭でアレクセイが枝に引っ掛けたテープが、まだひらひらと枝に引っかかっているショットで終わります。
夫婦はこれからも自分しか愛せない不幸な人生だけど、アレクセイはどこかで悠々自適に過ごしているという暗示と勝手に受け止めることにしました。ガンバレよ!
それにしてもこういう内容って、どっちかというと日本よりな気もしていたのですが、(真っ先に思いついたのが、周りの迷惑も顧みずインスタ栄えを狙う人とか・・・すごく身近な所だと)
やっぱり世界共通なんですねえ・・・どこの国にもいるんだなあ・・・
【どうでもいいこと】
私が記憶している限り、確か前作『裁かれるは善人のみ』でもあったと思うのですが、ロシアでは冷蔵庫の上にテレビ置くのが流行っているんですか?凄く見ずらそう・・・
『スプリング・ブレイカーズ』をギャルに勧める記事
私が好きなお下劣映画の中でもひときわ異彩を放つ作品に、ぴちぴちのギャルズが、ただひたすらはしゃぐだけの『スプリング・ブレイカーズ』というギャル青春ムービーがあります。
とにかく、このギャルズのはしゃぎ方のえげつなさ、ジェームズ・フランコという2枚目俳優が、「MCエイリアン」というしょーもない芸名のアーティストに扮し、「ケツとビキニが人生だ!」というありがたいお言葉も聞ける良作です。
なぜあげみざわな映画が評価されないのか…全く理解できないで、このブログを読んだぜひいろんなギャルに広めてください。もく黒でも白でも構いません。
普段映画を見ない人でも、『スプリング・ブレイカーズ』には面白い点がたくさん
それは、歌手のセレーナ・ゴメスや、人気ドラマ「プリティ・リトル・ライアーズ」に主要キャストの一人として出演しているアシュレイ・ベンソンが、『スプリング・ブレイカーズ』のメインキャストとして出演している点です。
セレーナは作中でも、割と真面目ちゃん(他がぶっ飛びすぎてそう見えるだけかも)なのですが、いかんせんアシュレイ・ベンソンに関しては、ドラマで演じていたストイックな雰囲気の役柄とのギャップも相まって、目を覆いたくなるほどの豹変っぷり。
口を開ければ「ち○こ」と言い、ストイックさを失った反動に、自分のパイオツをぶるんぶるんさせるなど、おっぱ○と役のふり幅のすごさにいろいろ心配になります。
セレーナは、自分の春休みの近状を、おばあちゃんに手紙で伝えるシーンがあるのですが、「美しいものを見つけたの」という彼女のナレーションのバックで、アシュレイ・ベンソンが座りションしているシーンが流れてきたのには笑いました。もうめちゃくちゃです。
めっちゃやばいゆうこりんみたいな奴おる…
(奥で新年のカウントダウンを空中で過ごしていそうな人がエイリアン)
『スプリング・ブレイカーズ』のキーパーソンで、イケイケゴーゴーなギャルズに接触を試みるのは、「エイリアン」と名乗り胡散臭い男です。
本名は「アル」というそうですが、「違う星からやってきた」という、しょーもないキャラ設定が、さらに胡散臭さをむき出しにしています。
日本にも「こりん星から来た」という、料理が上手な女性タレントがいますが、同じようなことを言っているのに、雲泥の差です。
しかし、このエイリアンと名乗る男は、麻薬の密売などで荒稼ぎしている札付きの悪。
稼いだ金で銃をしこたま買い込み、またその銃で人を脅しては金を奪う…さすが、違う星から来る奴にはロクな奴がいません。
そんな彼は自らの悪行にギャルズも誘うのですが…
それにしても、ゆうこりんも地球ではキャピキャピしていますが、案外こりん星ではマシンガンを抱えて金を出せと脅し回るなど、ブイブイ言わせていたのかもしれません…えっ、「こりん星は設定だった」と自分から言ったですって?
「ケツとビキニが人生」という名言に恥じない画面のニキビ率
門脇麦が、めっちゃでかい声で卑猥な言葉を連呼し行為に耽るというR-18映画がありますが、その映画の登場人物はほとんどのシーンで全裸だと言われてます。
『スプリング・ブレイカーズ』では、それに負けないくらいの驚愕のケツ・ビキニ率。
ギャルズもだいたいビキニです。
体感時間で言ったら、10分に1回はケツを振っているシーンに出くわします。
以前、メイウェザーさんが、ホテルの部屋で美女のお尻を振らせて、現ナマをばら撒くという、まるでファンタジーのような動画がツイッターで流れてきましたが、あれを地で行く感じです…
メイウェザーになりたいpic.twitter.com/9Msd9p5eqb
— tᗝᔕᖺᓮᖺᗩᖇᘎᕈᖇᗝ (@extkg) 2018年12月31日
ただ、その他パリピに関しては、ビキニすらつけていない人もいます。
あまりのアゲな世界観にのめり込んでしまいますが、実際のところインキャな私はあの場に放り込まれでもしたら…と考えると辛すぎて泣いてしまうでしょう…映画ってすごい…
とにかく、『スプリング・ブレイカーズ』以外にもギャルとかJKが「ウチらまぢ無敵ぢゃね?」という感じの映画は面白いことが多いので、ぜひ見かけたらチェックしてみて下さい。
『遊星からの物体X』を、デートの時くらいしか映画を見ないような人にお勧めする記事【挑戦】
地球にやってくる宇宙人がみんな友好的なら良いのですが、映画だとたいてい凶暴なやつばかりで困りますね…
今回紹介するの『遊星からの物体X』に至っては、凶暴なうえに狡猾なので、非常に厄介です。人間でもそんな奴いたら嫌なのに…
もれなく食欲が失せるダイエットムービー
『遊星からの物体X』は、人を喰らうと、細胞レベルでその食べた人に化けることができます。
しかし、その捕食シーンががキショいのなんの。
よくもまあ、そんな食べ方を思いつくよね…と一週回って感心してしまうレベル。
あと、物体Xさん(作中では”いきもの”と呼ばれます)にとって、人間なんてしょせん入れ物以外の何物でもないので、化けた人の中から”いきもの”が現れるシーンでも、も少しこう…要領よく現れられないのかと、ドン引きする勢い…
この映画が作られた当時、CG技術なんてまだ栄えていなかったので、グロのリアル感が、より気分を悪くさせます。
リアルすぎて、ホント視界に入れるのもばっちいくらいなので、あえて細胞レベルで恋してて、ダイエット頑張らなきゃ!みたいな人にはうってつけの映画です。書いてて恥ずかくなってきた。
南極の人が、「知らない人に合うのは危ないよ」ってすごく体を張って遠回しに教えてくれる映画
SNSが盛んになって、見ず知らずの人と会うことに対する敷居が随分と下がる中、当然オフ会とかに、危ない人が紛れ込んでいる可能性は十分にあります。(オフ会なんて行ったことないから知らないけど)
そういう意味では『遊星からの物体X』は、人を疑うことの大切さも教えてくれます。
なんなら彼らは、今まで仲間だった人々にさえも疑わなければならない状況なので、オフ会の危険度なんてゴミクズ程度に思えてしまうでしょう。あれ、急にこの項目の説得力がなくなりました。
まあ、オフ会に参加する人は「純粋にすげー!」なんて私は思っていましたが、この映画を見ると、「やっぱ、今のままで良いや」という考えに至ります。
それくらい『遊星からの物体X』は、人間不審に陥りやすい映画なので(私のような)すでに人間不信気味なやつが見ると取り返しがつかないことになるので気を付けましょう。
P.S
オフ会がだめなら「出会い系ならいけるっしょ!」と思っている脳みそおちんち○な人は、『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』を処方しておきますね~。
SF版「汚物は消毒だー!」
どうしても南極かつ、基地という限定的な空間ででお話が進むので、"いきもの"の対峙方法は限られてきます。
その方法は、ずばり火炎放射器。
一応銃も登場しますが、"いきもの"相手には歯が立たちません。
そんなわけで、“いきもの”が現れると、有無も言わさず火炎放射器。
いきものが分裂すれば、追いオリーブならぬ、追い火炎放射器。
屋内だろうと屋外だろうと、所かまわずぶっかけます。
さながら、そのインパクトは、あの「北斗の拳」に登場したモヒカンを彷彿とさせます。
ホラーとかグロが苦手な人は、火炎放射器が登場するたびに脳内で「汚物は消毒だー!」と再生すると、割と平気なので、見る際はお試しあれ。
まとめ
というわけで、『遊星からの物体X』を他の人に勧めるなら、グロい面を推すより、ダイエットのお供にいいよ!とか、軽いトーンでいってみましょう。
その際には、具体的にどんなディテールのやつが出てくるのか、説明すると効果的ですよ。。。