週間ねりきり(不定期更新中)

妻と2匹の猫と暮らす、よく分からない視点で映画のことを書く人です。意識高い系ブログが集うはてなブログの中で、ひたすら意識低い系の記事を不定期更新。 これに伴い日刊から週間になりました。今まで嘘ついててすいません…

『寝ても覚めても』渡辺大知の新境地がみれる異色メロドラマ

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『ハッピーアワー』は見ていないし、なんなら濱口竜介監督作は初見になります。

 

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ですが、私が「お義父さんとなかなか仲良くなれない…」と思ったら真っ先に思い出す芸能人・東出昌大が主演な上に、一人二役ということもあって、意気揚々と見てきました。

 

最初は朝子と麦の馴れ初めや、麦が疾走するまでを描いているのですが、まあのろけシーンが凄いのなんの

 

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どこの世界にバイクで2ケツして、事故った直後に、公道で倒れながら熱烈なキッスする奴がいるんだよ…と。

 

これは初めて退席してしまう映画かもしれない…と、心の隅でそう思う自分がいました…

生理的に無理というやつです…

 

でもある意味、最近巷に溢れている、共感を呼ぶラブストーリーへの反骨精神なのでは!?と、思うようになり(ポジティブ)、それからはなんの抵抗もなく見ることができました。

 

とりわけ気になったのは、渡辺大知が本作の後半で難病に侵され、ほぼ植物人間状態になってしまうのですが、そんな彼を見て、すごくハマり役だなと驚きました。

 

これは非難や皮肉ではなく、病気の演技が自然って、相当すごいことだと思うのです。

 

例えば最近の有名どころだと、『博士と彼女のセオリー』で、ホーキング博士を演じたエディ・レッドメインなんかも分かりやすいです。

ハマり役かどうかは別として、難しい演技だったのは素人目にも分かります。

 

作中の渡辺氏は、顔を動かすこともままならず、口も本当にわずかしか動かせません。

かと言って、例えば彼の周りにある医療機器全般を取っ払っても、病気だということは分かると思います。それくらい自然な演技だっのです。

 

これまでの渡辺氏が演じた俳優役って、『勝手に震えてろ』とか「抜けてるけどどこか憎めない」感じの役が多い気がします。

それだけに今回の演技は新たな発見…まさに新境地のそれだとビシビシ感じました。

 

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唐田えりかも、最初はぶっきらぼうな演技だなあ…とか失礼なこと思いながら見ていたのですが、話が進むにつれて彼女が演じる朝子が、常人には理解できないくらい独特な恋愛感情を持っていると分かってくると、その演技も納得できてしまうので凄いです。

 

ストーリーに関しては、タイトル通り、朝子が寝たり覚めたりするごとに、「麦との日々が夢のようだった」のか「亮平との日々が夢のようだった」のか、その仏頂面の裏で葛藤するところがとても見どころです。

 

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「ただのクソ自己中な女だな」と、完結してしまうことも可能ですが、せっかく1800円払って見てるのに、私たちの実生活になぞらえて考えるのはあまりに勿体無い気もします…(勿論私はポイントで見ましたけどね!フゥー!)

 

朝子自身も、自分の判断に迷いがない(よく言えば)大胆な女性かと思ったら、眠りから覚めると、まるで現実に戻ったように、さっきまでの判断を悔い改めるなど、葛藤から見る成長も良かったです。

 

それにしても、なんで制作に名古屋に本社を構えるTV局「メーテレ」で、大阪と東京を舞台にした作品なんだろう…

多分調べれば理由わかりそうだけど、面倒くさいから調べませんっ!