週間ねりきり(不定期更新中)

妻と2匹の猫と暮らす、よく分からない視点で映画のことを書く人です。意識高い系ブログが集うはてなブログの中で、ひたすら意識低い系の記事を不定期更新。 これに伴い日刊から週間になりました。今まで嘘ついててすいません…

【ネタバレもあるよ】『チキンとプラム〜あるバイオリン弾き、最後の夢〜』感想。愛と芸術ほど曖昧なものはないんだなあ(白目)

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先日私の中ではカルト級のラストを決めてきた『ハッピーボイス・キラー』のマルジャン・サトラピ監督の過去作、『チキンとプラム〜あるバイオリン弾き、最後の夢〜』

 

どうせプロローグでマチュー・アマルリック演じる主人公が、8日後に死ぬことはわかってるんだから『最期の夢』でもいい気がしますが…

 

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面白さ:3/5点 

ゴルシフテ・ファラハニの可愛さ:5/5点

マチュー・アマルリックのクズさ:4/5点

おっぱい:10/5点

 

総評:3/5点

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一応あらすじとしては、バイオリニストであるものの、大した収入も得ることのできないナセル・アリ(マチュー)が、奥さんにキレられたうえに思い出のバイオリンを壊され、そのショックから立ち直れずに自殺を決意。

死に至るまでの8日間の間に、いろんなことを思い出したりしますが、主に生涯で最も燃えた恋を思い出す…

 

という感じのストーリー。

 

こうやって書くとなんだかすごくロマンチックな話に見えますが、文章よりもはるかに、ナセル・アリはダメダメ男。

 

一応作品紹介では天才バイオリニストとかいてますが、幼少期から不良なだけでなく、弟が優秀ゆえにいつも比較され、歪んだ性格に。

生計を立てれるほどの実力がないにもかかわらず(ないからこそ?)いやというほど面倒くさいタイプの芸術家気質に…

奥さんに子供の面倒も一家の収入も押し付けるような体裁こそ守ってますが、根っこはマダオです。

 

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そんな彼にも、過去にめっちゃ好きになっちゃう女性が現れます。

 

それは『パターソン』で、見た目通り不味いカップケーキを作って、アダム・ドライバーに険しい表情をさせたゴルシフテ・ファラハニ。

 

監督がイラン出身で、フランス在住ということもあって、世界観はイランっぽいのに、彼女以外の登場人物はフランス人という不思議な世界観にもなっています。

 

話がそれましたが、彼女となんとかお近づきになって、相思相愛になったのですが、安定のパパ全否定という形で、二人の恋は終焉を迎えます(お金がらみで相手のこと否定するのは本当にダメ…)。

 

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現在の妻とも、母親が無理やり結婚させたようなものだったので、ナセル・アリは一切の愛情を抱いておらず、当然夫婦仲も冷め切っています。

 

しかし妻の方は、まだ若いころからナセル・アリを気にかけていたという事実が分かるという、なかなかに胸が苦しい展開も…

ナセル・アリの自殺を食い止めるべく、彼の好物である鶏のプラム煮をごちそうしても、口にすらしません。そりゃ自殺する気満々だし…(しかし結果として、銃殺毒殺絞殺いろいろ考えたけれど、芸術家的考察ゆえ、どれも断念。多分最終的に衰弱死します)

 

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そして最後の最後で、ナセル・アリが本当に自殺を決意した理由が明かされます。

それは、新しいバイオリンを探す道中で、あのパパに否定されて疎遠になった恋人と再開します。

しかし今度は恋人の方が、ナセル・アリを全く覚えていないと全否定。

ナセル・アリはひどくショックを受けますが、実は恋人はナセル・アリを覚えており、自分にはすでに夫も恋人もいるので嘘をついていたのでした。

当然、彼女も嘘をつかざるを得なかった自分にショックを受け、人知れず涙します。

 

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私はこの映画を見てる途中は、作中で魂の話とか、芸術の話が出てくるので、恋とか愛も、これらと同じで非常に曖昧なものなのかあ〜と、足りない脳みそで考えていました。

しかし、あのラストシーンだけで、愛だけは確かなものなんだな…と、くっさー!って思いつつも、そんなことを考えさせられました。

 

しかしこんなメルヘンで、どこかダークな雰囲気が、漂う作品から生首と猫と犬がペチャクチャ喋る映画が次作になるとは…