『ウィ・アンド・アイ』感想。真面目な日本人には受けにくい、ハイスクールバスのカオス…
ミシェル・ゴンドリーがリアルガチの高校生を集めて、夏休み最終日、帰りのバスでの会話劇で100分以上続く本作。
一応ジャンル的にはしょっぱい青春映画です。
米ニューヨーク、ブロンクスを舞台に、陰キャからDQNまで幅広い人種がバスに乗り込み、アイツがパーティー開くとか、誰それが浮気したとか、とにかくいろんな話がいっぱい聞こえます。
なんでも監督の実体験から生まれた作品らしいのですが、いろんな登場人物がいろんな話をするので、いったいどれが監督の実体験なのか、そもそも「人から聞いた」という実体験なのか。
まあどちらでもいいのですが、とにかくいろんな話が右往左往するので、どこまで真剣に聞いていいのかわかりません…
主人公というか、メインの人物は不良グループの一人だけど、そんな奴らつつるみながらも、「自分はこいつらとは違う」と思っている一番質の悪いマイケルと、その恋人テレサ。
そもそも登場人物多すぎて、最初誰が主人公なのかわかりませんが、みんな徐々にバスを降りて来てから、やっと誰が主人公が分かってくる仕組み(?)
もう…なんというか、本当にいろいろとっ散らかって、ラスト20分までのことを、私はよく覚えていません…
ただ、みんなバスのマナークソ悪いなあ…と、治安のよいこの国・日本に住んでいる私は、そんなことをぼんやり思いつつ見ているだけでした。
もう80分くらい、バスの中でプリン食うわ、ギター弾くわ、タバコ吸うわ、ガムを乗客の背中に大量につけるわ、ウォーターブラが宙を舞ってるわとアナーキーの極み。
しかし乗客がどんどん減って、日が沈んだあたりから突然この作品の魅力が出てきます。
本当は不良とつるまずに、まともにいたい偽善者マイケルに、突然今まで全然しゃべってなかったアフロが、(言葉で)鉄槌を下して去っていきます。(その前の会話は、『グッバイ・サマー』を彷彿とさせるような内容でした)
めちゃくちゃ後味の悪いシーンですが、当のアフロはもうこれを言いたくて待ちくたびれてたのかなあ…と考えると、とても可愛く見えてきました。よかったね!
さらにもう一つ、衝撃の事実が明かされ、これも本当に実体験なのか?と驚くような展開も。
雑音が去って、強がりの青春からしょっぱい青春が見えてくるのはとてもよかったです。そこに至るまでの道のりは非常に険しいですが…
そういえば途中、ある男の子が女子集団に、いかに自分がスターなのかを延々と語るシーンがあるのですが、これがまあよく思いついたなと一蹴回ってほめてあげたくなるようなストーリー。
俺のいる場所がパーティー会場で、半裸の女性が常に言い寄ってきて、ドナルド・トランプと仲良くなって会社を立ち上げるそうです…それにしてもトランプ全然似てなかったなあ…もっとなんかいただろ!がんばれよ!
(それにして、びっくりするほどピンとこないキャッチコピーだなあ…)
もちろん空想の話なので、男の子が軌道修正するたびに再現Vもいちいち修正されます…芸が細かいのか雑なのか…これがミシェル・ゴンドリーの手法なのか…
あとあれですね、ロン毛を束ねてる髪型のやつ2人もいるわぁ…て思ってみていたら、途中で3人だったことに気づきました…どうなってんだ一体…
もはや個性が集まり過ぎて凡個性になってました。
そしてこのブログもいつも以上にまとまりのない感じになった…