週間ねりきり(不定期更新中)

妻と2匹の猫と暮らす、よく分からない視点で映画のことを書く人です。意識高い系ブログが集うはてなブログの中で、ひたすら意識低い系の記事を不定期更新。 これに伴い日刊から週間になりました。今まで嘘ついててすいません…

【ネタバレ】『ボーダーライン ソルジャーズ・デイ』は、どのくらい前作より非情なのか?

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監督の交代、劇伴担当の急死など、色々ありましたが、なんやかんや続編はきちんと公開された『ボーダーライン ソルジャーズ・デイ』

 

前作の監督ドゥ二・ヴィルヌーヴや批評家からの評判も良く、公開前からキャストが口を揃えて『前作よりめっちゃエグい』と語る本作はどれほどなのか、張り切って公開初週に見てきました。

 

スケールがエグい

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(通称「アディオス撃ち」も炸裂)

『ボーダーライン ソルジャーズ・デイ』では、麻薬カルテルの手助けで、テロリストの密入国を許してまうため、まずその描写を始め、かなり女子供容赦無く犠牲になっていきます。商業施設での爆破テロシーンもなかなかに酷いです。

幼い娘を連れた母親も、2人揃って跡形もなく消し飛びます…

 

それはアメリカ内だけでなく、敵国への反撃でもそう。

誘拐されるイザベラ・モナーちゃんも、おじさんだったら間違いなく精神崩壊しそうな展開を立て続けにくらいます。まだ16歳(実年齢も17歳)なのに…

 

他にも、本作の拷問シーンはもはや対象に直接苦痛を与えるのではなく、ドローンで対象者の家族がいる家に爆撃するという、お手軽かつエグいことを、まるで息をするかのようにやってのけます。アメリカ怖い。

 

葛藤がエグい

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前作はエミリー・ブラント演じるケイトが、いかに自分の中にやる気や能力があっても、メキシコでは無意味!というのが醍醐味でした。

 

『ボーダーライン ソルジャーズ・デイ』では、話が割と分かりやすくなった分、各個人の葛藤が浮き彫りに。

予告編とかを見ると、まるでベニチオ・デル・トロ演じるアレハンドロと、マットは進んで対立していくような感じにも見えますが、実際は「テロなんて怖くねえ」と息巻いていた大統領が、ちょっと自分で認可した作戦が暗礁に乗り上げると、あとは現場に責任丸投げしてしまったことで招いた対立なのです。

 

責任転嫁されたマットを大統領に引き合わせた女上官も「もう全部無かったことにしとけ!誘拐した娘も協力したアレハンドロも抹殺しろクソがあ!」と、マットに丸投げ。

図らずしも中間管理職みたいな立場になったマットの苦悩が始まります。

 

しかし事情を把握したアレハンドロは、マットを非難することなく「やるべきことをやれ」と伝えるのでした…

 

アレハンドロへの仕打ちがエグい

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前作では傷ひとつつかなかったアレハンドロですが、『ボーダーライン ソルジャーズ・デイ』では、九死に一生レベルの瀕死に陥ります。

 

それもこれも作戦が破綻して、イザベラちゃんをかばった故なのですが…

 

とにかく前作よりも、アレハンドロのキャラが明るみになっており、彼の優しやにフォーカスを当てるためか、なかなかにひどい仕打ちをうけています。メキシコで優しさを見せることは命取りなのでしょうか…

 

中でも彼の殺された娘が聾唖で、そのため手話を使いこなすシーンは彼の優しさを象徴するかのようでした。

 

マットのラストがエグい

中間管理職になったマットは取り敢えず別れたアレハンドロとイザベラちゃんを追いますが、その道中密入国を斡旋する連中が、アレハンドロに発砲するところを目撃します。

 

戦友を虫けらのように殺されたと思ったマットは、斡旋連中を蜂の巣にすべく、たかが自家用車二台に、ゴリゴリの軍用ヘリ2台でめちゃくちゃに接近します。

 

もはや武器を手にさせることもせず、敵を根絶やしにするのでした。

 

荷台に乗ってる手先の少年たちも、ご丁寧に全員立たせた後に、虐殺レベルで皆殺しにします。

その時のマットさんのご尊顔と言ったら…わたしが一番この作品で好きなシーンです…

 

おまけに殺す予定だったイザベラちゃんは、証人保護プログラムを使うということで救出する運びに。命令違反に命令違反を塗り重ねたマットのいく末やいかに…

 

前作が飄々としていたキャラだっただけに、アレハンドロも、自分の手駒程度にしか思ってないんだろうなあ〜と考えていただけに、この展開は胸熱でした。

 

ちなみにアレハンドロは殺されたと見せかけて死の淵から蘇り、1年後復活した彼はきっちり犯人の前に現れるのでした…

 

 まとめ 第3部はどうなるのか

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(本編を見ながらずっと、イザベラちゃん誰かに似てるなあ…と思っていたのですが、ミシェル・ロドリゲスをすごい可愛くした感じに似てる…)

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本作の中ではっきりしなかった点が、おそらく最後の第3部で描かれるのでしょうか。

 

・アレハンドロは1年越しに復活したけど、マットとの関係はどうなったのか?(アレハンドロが生きていることを知っているかは不明)

 

・アレハンドロがラストで出会った密入国を斡旋した少年のその後。(アレハンドロ曰く「将来の話をしよう」と言って、ドアを閉めて2人きりになったところで映画は終わる)

 

・イザベラちゃんは救出されたあと、どうなったのか?(マット同様、アレハンドロが生きていると知ってるかどうかは不明。ラストでは完全に精神崩壊し、ずっと放心状態)

 

エミリー・ブラントはどのように3部作目で関わってくるのか?(カムバックの可能性は公開前から思って噂されている)

 

この辺りが明らかになるのを期待しています!

 

最後に地味に衝撃的なシーンだったのが、密入国斡旋をする少年を逃すのに雇われていたのがどこにでもいる赤ん坊を連れた母親でした。

日本でも詐欺で手に入れたお金を何度も人を経由して運ぶ手法で、家族ぐるみで加担してしまった事件が報道されましたが、それに近いものを感じました。

 

なにより、本当に密入国者にテロリストが紛れていたら、あの母親も間接的とはいえ、テロに加担したことに…

脚本のテイラー・シェリダンの母国に矛先を向ける内容はいつもショッキングです…