週間ねりきり(不定期更新中)

妻と2匹の猫と暮らす、よく分からない視点で映画のことを書く人です。意識高い系ブログが集うはてなブログの中で、ひたすら意識低い系の記事を不定期更新。 これに伴い日刊から週間になりました。今まで嘘ついててすいません…

【ネタバレあり】『女王陛下のお気に入り』のラストは、精神を病むレベルの画力

アカデミー賞最多ノミネートで話題となった『女王陛下のお気に入り

 

正直、自分の息子にムスコの精通体験を詳細に語る間抜けな父親など、きわどいギャグをかましまくるヨルゴス・ランティモスの作品がノミネートと聞いた時は、「気でも狂ったのか?」と思いましたが、内容を見ればなるほど!納得できました。

史実は知らないけど、作品は全然面白いです。

 

 

以下、ネタバレを含みます!

 

 

 

 

①これまでのヨルゴス・ランティモス作の中では割とわかりやすい内容

今までのヨルゴス作といえば、「難解」「不条理」といったイメージが強いですが、『女王陛下のお気に入り』に関しては、非常にわかりやすい3人のパワーゲームと、欲望や愛のままに振舞っていたら最終的に何も残らなかったよー;;みたいな話です。

 

ゲームと言っておきながら、勝者は唯一あの3人と関わっておきながら、無傷でホクホクになったニコラス・ホルトってのがまた最高にシュールです。(史実かどうかはわかりませんが…)

 

こんな感じで過去作のような、変な設定や世界観はないので、割と「何が伝えたいのか?」という点では分かりやすく、『女王陛下のお気に入り』をみた後に『聖なる鹿殺し』なんて見たら「暗号かよっ!」ってツッコミを入れたくなること必須です。暗号だよっ!

 

②また秀逸な手コ○シーンが誕生してしまった。

女性が男性を服従させることを暗示するシーンで、謎に手コ○されることが多い映画界。

 

有名どころ?だと、『ザ・マスター』という作品があります。

今は亡きフィリップ・シーモア・ホフマンが、エイミー・アダムスに手コ○されるシーンは今なお語り草となっているほど。

 

女王陛下のお気に入り』でも、策略で結婚したエマ・ストーン(アビゲイル)が、「初夜なのに何もしないの?」と、ピーピー喚く夫に手コキしてやるシーンがあります。

しかし、そこには愛情のかけらもない、完全なる業務感しかありませんでした。

デスノートばりの思考を張り巡らせるエマ・ストーンをよそに、画面奥ではあんあん情け無い声を出す夫…

 

本当によるゴス・ランティモスは性を作業として描くのが好きだなあ…と、痛感したシーンです。

それにしても、いくらエマ・ストーンとは言え、あんな業務感丸出しで手コキしてもらっても、賢者タイムでたくさん死にたくなりそう。

 

③もう1分でも見せられたら、間違いなく気が狂うラストシーン。

最近はいろんな映画で「衝撃のラスト!」という、宣伝文句を聞きますが、本当にその通りだなあー、と感動したのはシャーロット・ランプリング主演の『さざなみ』くらい。

ああいう派手な演出や演技をしていないのに、表情だけで「うおーっ!」と見てる側を唸らせてこそ、この飽和状態の「衝撃のラスト」内で真価を持てると思います。

 

そして、今まで暫定1位の「さざなみ」に並んだ衝撃のラストが『女王陛下のお気に入り』です。(別に配給とかはそういう宣伝の仕方してないけど…)

 

サラは追放したことに負い目をを感じるアンは、どんどん精神を病んでいき、最初はあんなに可愛がってたアビゲイルを奴隷のようにこき使います。

アビゲイルも散々媚び売って、ウハウハのパリピ生活を手に入れたと思っていたのに、また虐げられる生活を予感させる案のふるまいに愕然…

 

アンはアビゲイルに足を揉めと命令し、アビゲイルはこれに応じます。

しかし、互いに全く目を合わせないどころか、いったい何を見つめているのかわからないくらい絶望した表情。

人間ってあんな顔できるんだ…」と見ているこっちが絶望したくなるレベルの顔面が、延々とスクリーンにアップで映し出されます

しかも、交互に映っていた2人の顔が重なりあっていき、さらにそこへアン王女のうさぎさんも重なってくるという、まるでヤクでもキメたっけ…と思うようなカオスな画面がまた延々と流れて終わります。

 

 こんなの、あと1分でも流されたら、間違いなく精神崩壊します…

ただ、ひたすら死んだような顔したオスカー女優を垂れ流すことで観客を破たんに追い込むランティモスめっちゃ怖いです…

 

【おまけ】相変わらず笑っていいのか迷う、ランティモス節ブラックジョーク一覧

①自身の過去作のオマージュが雑

本作では、貴族たちがカモでレースをするシーンがあるのですが、アン王女はなぜかロブスターで競争しようと、提案してきます。

 

どうしても、数ある動物の中で過去作のロブスターを持ってくるあたり、「オマージュなのかな…?」と思ってしまうのですが、どうなんでしょう…?

 

エマ・ストーンのツッコミを入れたくなるヌードシーン

作中にちょいちょい見えそうで見えないエマ・ストーンのヌードシーンがあるのですが、基本AV脳(職業病)な私は、ずっと「やっぱオスカー女優となると、ヌードシーンとかも見えないように徹底しろって事務所がうるさいのかなぁ…というかハリウッドって事務所あんの?」

と、しょーもないことを悶々と考えていたのですが、次の瞬間、アン王女を寝取ったエマ・ストーンのおっぱ○丸見えじゃないですかー!えっー!事務所関係なかったの?てか事務所あんの?

そんな私の動揺など関係なく、アン王女を寝取ったエマ・ストーンは、この上ないドヤ顔を見せつけられるのでした。これも焦らしプレイなのかなあ…

 

レディー・ガガ全身痛風

痛風って本当に大変らしく、さまぁ〜ずの三村さんも「膝がぐにゃぐにゃなの」と言っているのをよく聞きます。

 

アン王女も痛風持ちで(三村さんと比較させるのもなんかアレですけど…)、当時の治療法として、患部に牛肉をあてがうシーンがあります。

 

ん、じゃあの時のレディー・ガガさんって…(ファンの人読んでたらごめんなさい)

 

…こちらからは以上です。

 

まとめ

最多ノミネートと散々よいしょされながら、フタを開けると10分の1の受賞のみというちょっぴり悲しいアカデミー賞の結果になってしまいました。

ですが、ヨルゴス・ランティモス作の中ではダントツ万人受けだと思うので(多分…)少しでも気になったら見てみるのをお勧めします!

 

何ならラストだけでもいいんで…あんなエマ・ストーンの死人みたいなツラ拝めるのは、『女王陛下のお気に入り』だけですよ!