映画『ザ・レイド』を観たことによる唯一の弊害
イコ・ウワイス主演作『ザ・レイド』は、まるでゲームのようにわかりやすいストーリー展開と、強くなっていく敵、そして目にもとまらぬ高速アクションが見どころのハイスピードアクション映画です。大味な大爆発はあまりなく、コンパクトかつキレッキレな肉弾戦が最高の作品です。しかし、この『ザ・レイド』を観たことで、たった一つだけある弊害が起きてしまいました…。
ほかのアクション映画が遅く見えてしまう
まるでパワーバランスが顕著な少年漫画に出てくる文言ですが…。
わかりやすい例として、同じくイコ・ウワイス主演作『ヘッドショット』のアクションシーンがあります。
同じ俳優さんが演じているのに、なぜか『ヘッドショット』を観た私は物足りない気持ちに…。
それはおそらく、『ザ・レイド』に観られるあのキレッキレのスピード感が見られなかったからです。アクションそのものは同じ人が演じているんだから、技術も含めてすごいことは間違いないのですが…。
アクションシーンをスーパースローで見せられると萎えてしまう。
アクションシーンのスローモーション問題は、正直『ザ・レイド』を観ようが観まいが賛否の別れる代表的な演出ではないでしょうか。
ブロックバスターにありがちな、急にスーパースローを挟むアクション演出。
もちろん、他のシーンとの差別化や、「それどうなってんだ!?」と言いたくなるアクションシーンをわかりやすく見せたいなど、確固たる意図があれば全然いいんですけど。
たまに大したことしてないのに「今めっちゃすごいアクションしてまーす!」と言わんばかりにスーパースローを差し込まれると「いや…別に…」と急に気持ちが覚めてしまいます。
これもまた、ハイスピードアクション『ザ・レイド』を観たゆえか…
映画『ザ・レイド』のようなアクション映画といえば
『ザ・レイド』を観たことで、並大抵のアクション・戦闘シーンでは満足できない身体になってしまいました。
そういえば、『ザ・レイド』を観る以前に何度もアクションシーンを見返していた映画があります。
それはマット・デイモン主演作『ボーン』シリーズ。
『ジェイソン・ボーン』こそ肉弾戦よりカーチェイスに力を注いだ印象を受けますが(そこも好き)、特に『ボーン・アルティメイタム』の、人ん家で死ぬまで殴り合いするシーンは何度も見返してしまいました。
『ザ・レイド』とは、アクションの派手さよりもキレの良さ重視、カメラワークなど、共通している点がけっこうあるように思うのですが…どうでしょう?
アクションでの違いを挙げるとすれば、『ボーン』シリーズはリアリティ。『ザ・レイド』はスピード感といったところでしょうか。
他にも、韓国映画の『悪魔を見た』とか『ファイ 悪魔に育てられた少年』、『ベルリンファイル』のアクションも良かったです。
特に『悪魔を観た』は色男イ・ビョンホンの激烈アクションと、夜も眠れなくなるほど後味の悪い展開が最凶なのでお勧めです。
話が逸れました…。弊害とか言っておきながら私は『ザ・レイド』が大好きなのです。
いつだったか『ザ・レイド』の続編制作がストップしたと聞いたときは膝から崩れ落ちました。
だからこそ、『ボーン』シリーズ、『ザ・レイド』に匹敵する、リアルかつキレキレのアクション映画に出会いたい今日この頃でした。(ギャレス・エヴァンス監督新作まってます!)