【ネタバレ】Netflixオリジナル『ホールド・ザ・ダーク そこにある闇』感想。闇が深いのは空でも狼でも息子でもなくこのシナリオ…
『ヘルボーイ』を見ているヤマダです。
先日解禁されたNetflixオリジナル『ホールド・ザ・ダーク そこにある闇』
『ブルー・リベンジ』、アントン・イェルチェン主演『グリーン・ルーム』と、色が入るタイトルが多いですが、今回は『闇』
そもそもどの作品も結構闇深めですが、今回は「闇」そのものに肉薄するような作品なのかなと思ったら、作品自体が「闇」でした。
良くも悪くもなく…(以下ネタバレを含みます)
お話としては、オオカミに1人息子をさらわれたと言う母親メドラから、助けを求める手紙を受け取った作家で動物行動学者?のコア先生が、アラスカのそれはそれはド田舎を訪れて、さらった狼を殺すことに。そんな中、戦争しに行ったメドラの夫バーノンが帰国してきたことで、狼よりも恐ろしい恐怖に直面するというストーリー。
すでに出ているあらすじのとおり、息子をさらったのは、今回は狼ではありません。
と言ってもこの村では過去に数人の子供が行方不明になっており、それはどうやらガチで狼にさらわれてるっぽい?
息子はメドラが殺害し、自宅の地下室に隠していたのを、動物行動学的かどうかはさておき、コア先生が発見してしまいます。
コア先生は地元警察の長、ドナルドに捜査協力を頼まれるのですが、その主たる理由が、「村人に聞いても話してくれないし、話しても儀式だの呪いだの、てんで宇宙人と会話でもしてるみたいな状況なんだよね~」みたいな?
そこにメドラの夫・バーノンが、イラク戦争から戻ってくると、状況は変わっていきます。
息子の遺体を確認しに、署を訪れたバーノンとインディアンのチーオンですが、何の前触れもなくその時署にいた人間を全員始末します。
バーノンは息子の遺体を持ち去ってメドラの後を追い、チーオンは事情徴収しにきたドナルドらを、自宅に隠していた機関銃で迎え撃ち、コア先生は風邪をひきます…
熱でうなされながらも、犯行直前のメドラと唯一接触しているコア先生は、自分のスリをドナルドに伝えるために村に行くと、そこでチーオンの銃撃に巻き込まれるというとばっちり。(結局現場にいたほとんどの警官を射殺するも、ドナルドに射殺されるチーオン)
その間、バーノンは被ると残忍さに拍車がかかる、狼の仮面を手に入れ、メドラを探します。(なんかいろいろ説明してるおじさんいたけど、何言ってるのかよくわからないうえに仮面をかぶったバーノンに殺害される。その後、近くのモーテルにいたおばちゃんに猟銃で撃たれるバーノンという、地味に強いおばちゃん)
メドラは、バーノンとの思い出の地といえる、村から2時間も歩いてたどり着ける温泉にいました。
コア先生とドナルドはその場を訪れようとしたら、隠れてボウガンを放つバーノンに襲われ、ドナルドは死亡。
コア先生はメドラのいる温泉にたどり着くも、バーノンに襲われます。
そして目の前でメドラとバーノンは抱き合い、コア先生はほったらかしでどっかに行きます。
コア先生は何やかんや救出されてお終い。
だんだん書いていて面倒臭くなってきたし、そもそも見ていて思った「なぜ?」がマジで何1つ消化されなかったので、詳細も考察もないという…
じゃあこの映画何が面白いの?って言われると、多分異質な緊張感だと思います。
登場人物みんな暗いというか、キャラに差がないというか、セリフは極限まで少なく、だだっ広い世界観…そんな眠くなる3大要素が揃っているにもかかわらず、一切眠くならない。
それは得体の知れない恐怖がじわじわやってくる演出や、ドンパチまで一触即発の空気など、とにかくそんな演出がずっと続いて気が抜けないです。
世界感が広大なだけに、ぱっと見そんな感じはしないんですけど、蓋を開けたらびっくり『グリーン・ルーム』に負けず劣らず。
ただ度々耳にしていた「監督の作品の中で最も死体が多い」という謳い文句。
確かに多いんですが、残虐描写はスキップして、完全に事後現場だけパシャパシャ映つしたり、
機関銃でゲームのごとくサクサク警官が死んでいくシーンとかなので、『グリーン・ルーム』みたいな犬に噛み殺されたり、いきなり鉈で腕ズタズタの千切れかけになるような、ハードゴアな演出は皆無です。
そういうのを期待すると、寒々しい気持ちになるので注意です。アラスカだけに…
多分、エンタメ性も社会性も備えたのが『ウインド・リバー』で、エンタメ性とアート性を備えたのが『レヴェナント』、エンタメ性も社会性も備えなかったのが『ホールド・ザ・ダーク』なのでしょう…
結論:『グリーン・ルーム』の方がグロい。(そういう映画じゃないし…)