『アポストル 復讐の掟』感想ネタバレ。ダン・スティーヴンスさんから学ぶブラック組織のやり過ごし方
以前、このブログでも書いた『ザ・レイド』のギャレス・エヴァンス監督の最新作『アポストル 復讐の掟』
(いい意味で)監督がやりたい放題で制作できるNetflixオリジナルの作品ということで、どんだけグロいねんと思っていたら、組織はグダグダになると、ほんとに大変だなあということを、血と拷問と恐怖で伝えてくれる作品でした。
- ブラック組織に入ったら、まずは生贄を見つけろ
- ブラック組織になじみたければ、体を張って忠誠心を見せろ
- 後輩教育も大事
- 筆者が予告編から騒いでた問題のシーン
- 『サクラメント 死の楽園』との決定的な違い
- まとめ
ブラック組織に入ったら、まずは生贄を見つけろ
本作は、主人公であるトーマスは、カルト教団に、金銭目的で誘拐された妹を救うお話。
元は妹の父親宛に脅迫状が届き、(たぶん)キリスト教の神父様はすでに死んだと思っていた、兄のトーマス(ダン・スティーヴンス)に潜伏して妹をすくうよう頼まれます。
脅迫状には、ご丁寧に島への船のチケットが入っていますが、それに細工をしており、娘の父親が誰かわかるよう罠を張っていたのです。
ところがトーマスは、それを見抜いて、本当の信徒のチケットをすり替え、まんまと島へたどり着き、すり替えられた相手は、金のありかを吐けと拷問にかけられ、あっけなく殺されてしまいます。
そもそも、教団は深刻な財政と食料難に陥っており、今や頼みの綱はその身代金だけだったのです。
ブラック組織になじみたければ、体を張って忠誠心を見せろ
無事潜伏したトーマスは、毎夜自らの血を瓶に詰めて、玄関に置く異様な住民の光景を目の当たりにします。
しかし、夜中出歩いてはいけない規則を何者かが破ったとばれて、トーマスを含む新参者は教会へ集められます。
そこで、潜伏者を探り出すために、順番に教団独自の聖書を暗唱させられます。
トーマスは困りました。
聖書なんて目を通していないどころか、ページの裏に、教祖の家の場所をメモったりしてるくらいです。
いよいよの次のやつで自分の番が回ってくると思ったら、なんと隣にいたやつも潜伏者でした。
彼は国の命令でスパイとして潜り込んでいたのです。
悪運の強いトーマスですが、念には念をと、やけくそになって教祖に飛びかかるスパイを押さえて深傷を負います。
これで教祖に借りを作ることに成功します。
後輩教育も大事
単身乗り込んだトーマスですが、やはり仲間は欲しいところ。
そんな時、教祖の友達みたいなおじさんが2人いるのですが、それぞれの息子と娘がデキていると知ると、トーマスは夜な夜な会っては情事に耽っていた弱みに付け込んで、息子の方に妹の救出を手伝わせます。
しかし息子の方もなかなかに能天気なのか、娘の妊娠に浮き足立っていました。
しかし娘の父はそれを許さず、なんと娘を殺めてしまいます。
怒った息子は娘の父を殺そうとしますが、失敗しただけでなく、娘の父に娘を殺した濡れ衣まで着せられてしまいます。
息子は逃げ出すも捕まってしまい、いよいよ、問題の処刑シーンに移っていきます。
筆者が予告編から騒いでた問題のシーン
私が公開前から気にしていた、ものすごい労力を必要としそうな処刑シーン。
手足頭をがっちり固定されると、この汚いドリルで頭頂部に穴を開けられる仕組み。
しかし処刑は教祖しかできないのに、「あいつは嘘つきだ」などと言って、勝手に娘の父が段取を組んで始めてしまいます。
ただ、流石に頭頂部にドリルがめりめり刺さる描写は写しませんでした。
周りの反応から想像しようとしたのですが、信徒は大体塩対応なので、想像が難しいです。
すると娘の父が、おもむろに手術の時とかに使う、細長いペンチのようなものを持ってきました。
間違いない。あのペンチを頭頂部の穴にいれて、脳みそチューチュー取り出すつもりだあ!ひええええ!
おっかなびっくりしている私でしたが、よく見るとペンチの先には、なんか赤いゴミ切れのようなものがついていました。
そしてそのままペンチを頭頂部の穴に入れると、ゴミ切れを中に置いて戻ってきました。すると…
「禊の印は完了した」
あれ、禊の印だったんだ…ゴミ切れとか言ってすいません。
しかしそんなに手間暇かけて禊の印を入れらてた息子ですが、私の目に間違いがなければ、下半身を引きちぎられ、臓物を撒き散らしながら、すごい雑に処理されてました。
禊の印入れた意味…
『サクラメント 死の楽園』との決定的な違い
似たようなストーリーに『サクラメント 死の楽園』というものがあります。
同じくカルト教団がテーマで、入段している登場人物の妹を連れ戻すというのもどこか似ています。
『サクラメント 死の楽園』は実話を元にしていますが、『アポストル』は不明。
それに決定的な違いとして、本作にはガチの女神が登場します。
と言っても、その姿は禍々しく、『アナイアレイション 全滅領域』にあった、壁で植物と融合しちゃった人の姿に近いです。
しかもその女神に血を飲ませると、女神の周りに草花が生い茂る超常現象が起きます。
女神の存在は教祖以外に、先の友達2人も知っており、教祖が教祖になれたのも、女神の力があってこそでした。
しかし女神は島に監禁状態だったこともあってか、農作物を枯らしたり、家ちくを死なせたりして反撃します。
この教団が食料難なのも、女神の反発によるものでした。
トーマスはこの女神と出くわすと、脳みそに変な爪を刺されて、解放して欲しいと頼み込まれます。
トーマス自身も過去に熱心なキリスト教徒でしたが、あまりに過酷な修羅の道を歩んできたため、信じられるのは妹だけという状態でした。
彼は女神に火をつけ、脱出します。
妹を監禁していた、あの娘の父と死闘を繰り広げ、なんとか救出するも、トーマスは脱出するまでの体力がありませんでした。
島に取り残されたトーマスですが、何と彼は女神に同じ力を与えられており、彼の周りの草花が育ち、傷がどんどん癒えていく半面、その顔瞳は女神と同じく白く濁っていくのでした…
教祖と友だち3人は最後の方は内輪揉めがすごくて、教祖も娘の父に殺されかけるなか、何とか死にかけのトーマスに追いつきます。
そこで再び目にした女神の現象。
終わり方はまるで、「俺たちの教団ライフはこれからだっ!」みたいな少年誌っぽい終わり方でした。たぶん…
まとめ
個人的にはゴア描写いっぱいかと思ったら、そういう訳でもなく、アクション描写も普通でした。
ただ「組織の崩壊は内側から」という点で見ると、なかなかにホラーなところがあり、そこにファンダジーな要素もあって不思議な作品となっていました。
カメラワークもかなり『ザ・レイド』で見たようなものも多かったこともあって、早く『ザ・レイド3』の制作が始まって欲しいと思う気持ちが強くなる一方でしたが…